以前から、教会のCantor の人手が足りない・・という実情を知りつつも、

なんとなく自分にはな〜

声も低いし、太いし、cantor向きではないと思うんだよな〜

・・などという後ろ向きな思いで、ずっと二の足を踏んでいました。

そんな重たかった足を、今回やっと一歩踏み出し、コロナで教会のミサがクローズされ、そこから再オープンしてからは、毎週土曜日が私の担当となって、毎週歌うようになりました。

(実はここまでに2年かかってます)

前唱者・cantorとは

教会のミサでは、オープニングやエンディング、献金時などに歌う賛美歌、また liturgy(典礼)に則って唱える文言(ほとんど聖書から来ています)をメロディーを付けて歌う部分など、かなり歌う箇所があるのですが、

その曲目を伝えて会衆をリードして歌う人のことをcantor(キャンター)と言います。日本語では「前唱者」と呼ばれるようです。

場所は alter(祭壇)の横、会衆の前に立って歌います。

私の通っているThe Basilica of Sacred Heart of Jesus and Mary では、祭壇のすぐ横に”ambo”(アンボゥ)と言われる、階段を登って位置につく、小狭いロフトみたいなところがあって、そこで聖書が読まれたり司祭が説教をしたりするのですが、Responsorial Psalm;答唱詩篇が歌われる時もそこでなされます。

前唱者・cantorをためらい続けて2年

普段はただクワイヤで歌えばいいだけなので、まったくもって気が楽なのですが、

ことcantorとなるとやることがてんこ盛り!!

以前から、クワイヤのメンバーからも何度も「cantorやって〜!」と言われていながらも「う〜ん・・いつかね〜」と受け流していたのです。。

しかしやってみれば・・・そりゃあ最初はめちゃくちゃ緊張しましたが、毎週のことなので、もう慣れました。。ミュージックディレクターであるDominickさんにお願いして、曲は全部キーを下げて歌わせてもらうようにして、さらにやりやすくなりました。

しかし、このCantorも、始めるのにはかなり勇気が入りました。実は、今年の*Lent(レント)の償いとして、

「やるべきことをやらなかった罪」の償い

として、ずっと避けてきたcantorを、思い切ってやる!と決心して一歩踏み出せた、という経緯があります。

*レントとは、イエスの復活を祝う「イースター」の前の、日曜日を除いた40日間のことで(四旬節とも呼ばれる)、この期間はイエスの犠牲、十字架を特に重んじ、自分の行いや習慣を見直して悔い改め、断食や償いをする習慣があります。

前唱者・cantorのお仕事

このような感じで歌っています(7/19/2020)↓↓

ここで、cantorとはどんなことをするのかをご紹介します。

まあ、やることはてんこ盛りです💦

①ミサが始まる際のwelcome挨拶や聖書箇所の概要などがまとめられた、“the statement for today” が用意されているので、それを開口一番で読む

②一つ一つの曲目のナンバーと曲名アナウンスと歌のリード

  • Entrance Hymn (オープニング)
  • Responsorial Psalm(答唱詩篇)
  • 福音書が読まれる前のGospel Acclamation
  • Gifts(献げもの、献金)の賛美
  • パンとぶどう酒を聖別する時に行うliturgyに則った、
    • Holy holy holy
    • The mystery of faith
    • Amem
    • Lamb of God の一連を歌うすべて
  • Communion Hymn (聖餐)
  • Sending forth Hymn(エンディング)

↑こちら、全部歌が入っているものですよ

③Responsorial Psalmではamboに上がる。その時に一度 alter前のpodium に行って、聖書朗読をした方と並んで一緒にalterに向かってお辞儀をしてからambo に上がり、Psalmが終わった後の降りてくる時も、次の聖書を読む人とpodiumで横に並んで一緒にお辞儀をして、自分の場所へ戻る。

さらに、それぞれスタートするタイミングを見計らったり、次の賛美歌本のナンバーを確認して開いて用意しておく、などがいろいろあり、最初から最後まで一切気が抜けません。

一番離れたところにいるオルガン奏者

また、ミュージックディレクターのDominickがオルガン奏者なのですが、その位置が、alterとは真反対の、会堂の一番後ろのクワイヤ・ロフトにいて、なおかつ前方に背中を向いた状態で演奏しているので、

私からの距離がすごく遠いし、意思の疎通を図るのが難しく、歌が始まったらもう自分のペースで行くしかありません。こちらからキューを出すことも、相手のキューを見ることもできません。。相手は私を鏡で見ることはできますが、それだけです。

いつ歌が終わるのかはその場の状況次第。伴奏がゆっくりになったらその回で歌が終わる、というサインを頼りにオルガンの伴奏にも注意を払ってひたすら歌う、しかありません。

There’s no turning back!

ミサへのコロナの影響

今は、コロナへの配慮のために、いくつかのことが排除されています。

  • 出入り口に置かれている聖水(こちらは教会によってあるところもあります)
  • ミサ中の「平和のあいさつ」=sign of peace;周りの人と握手したりハグしたりして”peace be with you”と挨拶を交わすことはしませんが、声を掛け合ったり手をふったりすることはしています ^^
  • Missal(席に置かれた典礼の内容と賛美歌が一緒になった本)

幸いなことに、聖餐式は通常通り行われております。感謝です!

自分のペースがかえって良いようです

こういったstatement、私の場合はネイティブのように早くは読めないので、割り切って自分のペースで、でも全てをなるべくはっきり読むよう心がけております。

また曲目のアナウンスも焦らず、一つ一つはっきり行い、なるべくみなさんが一緒に歌いやすいように、歌詞もはっきりと(時にはおおげさに)発音し、構わずボリュームを出して歌っています。

(通常、キャンターの人たちはあまりフルボリュームで歌うようなスタイルの人がいないのです)

また会衆のみなさんもとても喜んでくれているようで、マスクをしながらではありますが、少しずつ一緒に歌ってくれるようになりました。こんな時期なので、賛美することでみなさんのストレスが少しで軽減してくれるといいな〜、と神様の祝福を祈りながら毎回歌っています。

順番が回ってくるたびの、小さなプレッシャーはありますが、担当が与えられる限り、精一杯歌っていきたいと思っています。感謝!