さて、前回は声の出る仕組みを詳しく見ていただきました。

声を作っている声帯が、たった1cmから、大きい人でも2cm程しかない、そんな小さい器官だったのか〜、と私も改めて驚きました。さらに、そんな小さな器官から作られている声って、やっぱりすごいですよね!なんともデリケートな臓器を私達は神さまからいただいているのです。


例えば歌いすぎて声帯にポリープができちゃったりすると、それを取り除く手術をすることもあるわけですが、そうなると声帯の形が変わるので、声自体が変わってしまうのです。特に歌手の方には、それは致命傷ですよね!そうならないように、喉を酷使することをぜひストップして、喉が痛くなったら無理して喋らない、歌わない、などしっかりコントロールしていくことをお勧めします。


そうは言っても、どうしても大きな声でしゃべらなきゃいけない、歌わなきゃいけない、という場合も多々あるでしょう。はい、その気持ち、痛いほどわかります!私もそんな状況ばかりですから!

声のトラブルを防ぐリップロール


そんな問題に直面した時に、ぜひお勧めしたいのが「リップロール」で準備運動することです。もうこれにつきます!!

(喉の状態があまりにもひどい場合には、もちろんお医者さんに診てもらってくださいね、念の為)


今回はリップロールも含めて、歌の準備運動の一連の流れを見てみましょう。

1)体のストレッチ


私のゴスペルワークショップを受けたことがある方はすでにご存知のことですが、私が指導する際にまず、必ず行うことは、体のストレッチです。歌では全身、特に上半身をたくさん使いますので、上半身のストレッチをしっかり行いましょう。特に肩や首、胸=胸筋と背中全体のストレッチを十分に行い、血の巡りがよくなったところで、最後に姿勢を整えてください。

2)リップロール

そして、次に欠かせないのがこのリップロールです。体全体が温まったら次に、この小さな器官、喉をしっかりと温めていきます。ここにも十分に時間をとるようにしましょう。

私の場合は、最低でも5分はとっています。たかか5分、されど5分!この一手間が、その後の歌やトレーニングがうまく進むかそうでないか、が大きく変わってくるのです。また、喉を痛めてしまう、というような事故を防ぐためでもあります。ぜひ歌う前には必ず、1~2分でもいいのでリップロールを行い、歌う準備を忘れないようにしましょう。


リップロールとは、唇を震わせて声を出すエクササイズです。これは、のどに負担をかけずに、のどを温め、発声で使う筋肉すべてを温めることができる、という、最強のウォーミングアップになります。私は、喉の調子が悪ければ悪いほど、ひたすらこのリップロールをず〜っとやります。

文章で説明するよりも動画を見ていただいたほうがわかりやすいと思いますので、こちらを御覧ください。

3)水分補給

前回も言いましたが、声帯の表面は粘膜でできているため、粘膜が乾いてしまうと、喉が痛い、ヒリヒリする、など、声帯を痛めてしまう大きな原因になります。ですので、歌う前や途中で水分補給も忘れずに行ってください。

ミネラルウォーター

自分の声は、自分で守る

今回は、声の出る仕組みから、いかに私達が精密で繊細な器官を持っているのか、そしてその器官を守りながら使っていくための準備運動、ストレッチやリップロールを欠かさない、という事を見てきました。


ぜひ、この世でたった一つしかない、あなたの喉、声を守るためにも、この準備運動を忘れないようにしてください。自分の声は自分で守る以外に方法はありません!


どのような声であっても、その生まれ持った器官というのはすべての人が同じ構造を持っているし、多少の形の違いはあれ、筋肉と粘膜でできている以上、筋肉は鍛えることができる、すなわち、誰でも声や、また発音&発声を鍛えることができる、という事を知っていただきたいと思います。