母音が難しい
英語の発音について、かなりの頻度でお声をいただくのが、「母音が難しい」というコメントです。
その気持ち、本当によくわかります。
たしかに、英語発音と聞くとやはりth音やr音といった子音に目が行きがちですが、私自身の経験でも言えますが、母音は難しいし、やればやるほど奥が深い、と言えます。
ひとつの母音が何年もかかって、最近やっと身に染み付いてきたかな〜、と思う音さえありますよ。
みなさんは英語の母音と聞くと、何を思い浮かべますか?
アップルのアはどんな音?
例えば、Aの母音だったら・・・何を思い浮かべるでしょう?
王道のApple🍎でしょうか。 ^ ^
英語発音では有名なメソッド、フォニックスでも “A is for apple”なんて言ったりしますが、🍎のAはア、・・・と思いたいですが、実際は日本語のアとはサウンドがかなり違います。
この母音は、エの口でアを言う、ae音のア になります。
がしかし、日本語でアップルで慣れ親しんでいる私たちには、このアの発音が違う、と言われてもなかなか直すのは難しいですよね。
なぜなんでしょうか?
母音の発音が難しい、と感じるのはなぜ?
理由はいくつかあると思っています。
・カタカナ英語で慣れ親しんでいる
アップルはまあ例としまして、他にもカタカナ英語で慣れ親しんでいる言葉はたくさんありますよね!バナナ、コーヒー、ドライブ、タクシー、ホテル・・・以前にブログ記事もしたサファイア、などなど。。あまりにも口にカタカナが慣れているので、ついカタカナ発音が出てしまう、ということは仕方がないですよね。
私も未だにありますよ。つい先日も、種のseedをシードと自然に発音している自分がいました💧
・日本語の母音で慣れ親しんでいる
言い換えれば、英語の母音は日本語の母音に比べて微妙な音が多いんです。口を小さく開いて発音する、または大きく開いて発音する、もしくはエとアの間、とか、イとエの間、とか、アとオの間、とかなんですよ。こういった微妙な音は、日本語で慣れ親しんでいる私たちには、最初はかなり違和感を感じてしまいます。
・文字のappleを見て、そのまま発音しようとしてしまう
こちらも日本語の文化がかなり強いのですが、日本人は文字情報がないと本来の言葉の意味を知ることが出来ないですから、普段の会話でも文字をイメージしながら話したり理解したりしているのだそうです。
それが自然に、英語でも同様に起こるわけです。これは、英語の綴りのまま読もうとする=ローマ字読みになってしまう、ということですね。つまり、日本語の母音になってしまうわけです。それで本来の発音を聞いた時の違いに愕然として混乱してしまう、という流れに。。。
また発音を勉強しようと、テキスト本や発音解説など、その文字情報だけでがんばろうと思っても、音がなければ本当にそのサウンドを知ることができませんね。
母音のバラエティー=英語サウンドの豊かさ
ちなみに、アの母音だけでも、私が英語発音レッスンの中で指導している音は、アップルのAの他にも、こんなにあります。
- まずはアップルのae音
- 弱あいまい母音の|ə |
- あいまい母音|ʌ |
- R音と合わさった強あいまい母音|ər|
- ドクターズA
- 二重母音のアイ
と、アの母音だけでも6種類あるんです!このどれもが、日本語のアの発音とはサウンドが違うんですよ。
まあ、日本語でも時と場合によって、アのサウンドはいろいろあると思いますが、あくまでも母音と考えると一つしかないですよね。
このサウンドのバラエティーの多さが英語にはあるし、それぞれのサウンドが音に出た状態でないと、相手に伝わらない、ということが起こり得ます。だから大変です!
一つ、例を挙げるとすると・・・
例えば、the Lamb of God というフレーズがあります。日本語ですと「神の子羊」という意味で、この言い方はイコール、イエス・キリストを指すのですが(なぜ子羊なのか、というのはまた機会をみてお伝えしたいと思いますが)、
これをカタカナ英語に表記すると、 ザ ラム オブ ガッド と、アの母音が3つありますね、ザ、と、ラムのラ、と、ガッドのガです。
さあ、この3つの母音は上記のどれに当てはまりますでしょうか?
・・・正解は👆
- ザ・・・弱あいまい母音 ə のア
- ラム・・・ae音のア
- ガッド・・・ドクターズAのア
とすべて音が違うんです。この短い1フレーズでアの母音をそれぞれのアで発音しないとなりません。。
理論的なアプローチと実践的なアプローチの両輪で
これを理屈だけで練習しようとすると本当に大変で、母音の種類のどれがどれに・・・とやっていると、いつまで経っても混乱して、ナチュラルなサウンドになりにくい状態になってしまいます。
で、ここでサウンド重視の「歌の練習」を合わせるんです。そうすると聞いたサウンドをそのまま真似すればいいだけなので、かなりハードルが低くなりますし、歌ではそのメロディーで母音を伸ばすことが多いので、サウンドをコピーしやすいのです。
ただサウンドだけをがんばっても、サウンドがない場合、歌以外での応用が効かなくなってしまうので、やはり発音の理屈を知り、発音の仕組みを理解することは大切です。
発音の仕組み、そしてサウンド重視の歌、この両輪を使って発音訓練していくのが、英語発音ゴスペルの基盤になっている、というわけです。
正直、時間はかかります!すぐにマスターできるものではありません・・・しかしここが変わってくると、ぐぐっと英語らしいサウンドになっていきますよ!
ぜひ、長期戦でマスターする心づもりを持ちましょう。
個人のクセが英語発音をさえぎっていることも
独学でがんばっている方もいらっしゃると思いますが、それぞれの発音のクセ、というのもありますから、第3者の添削は本当に大きいです!
殆どの方が、口の開きがとても小さいですし、知らず知らずに舌を引っ込めてしまうくせのある方も結構いらっしゃいます。
なので、ぜひご自分の発音を上達させたいとお思いの方は、一度発音訓練を受けてみてください。